レポート>サレジオ会司祭Fr.ラップ春山のお話(ソロモン島での宣教)・・・写真集が追加 |
2010年5月15日、四国カトリック会館にて、第27回高松教区青少年宣教司牧委員会が開かれたあと、司教様、神学生、青年も加わり、Fr.ラップ春山のお話を伺った。 |
〈Fr.ラップ春山について〉 ・ ベトナムからボートピ-プルとして日本に来た。帰化して春山姓となる。サレジオ会司祭として叙階し、現在は、ソロモン諸島のテテラ教会で司牧。 〈サレジオ会がソロモン島で宣教するようになった経緯〉 ・ サレジオ会の総会で自分の国以外の所で新しい事業を始めることを決めた。 ・ モンゴル・パキスタン・ソロモンの三つの候補の中からソロモンが撰ばれた。 ・ テテラ教会からドミニコ会が引き、その後をサレジオ会が受けた。最初のボランティアグループが、鶏の世話をする等から始まった。今は大きな建物、車、食べ物もある。 〈ソロモンの人達の生活〉 ・ 自給自足の生活。インフラは整備されておらず、電気、水道、トイレもない。 ・ 核家族、大家族を超えたスーパー村、という感じ。子どもの問題は家族の問題ではなく 村の問題。村全体が子どもの面倒を見る。 ・ 万引きなどの犯罪も一切ない。 ・ 平均寿命は短く、死亡率が高い。父母が亡くなった時も、村が子どもの面倒を見る。 ・ 子どもも自由に他の家族に入っていく。親が再婚などをした場合も、産みの親も育ての親も、子どもにとってどちらも本当の親という感覚。 ・ まだ、文明が自由に入っていない。競争心もないが、向上心もない。新しい物を欲しがる気持ちもない。 ・ 世界で8番目に幸せな島と言われている。星の数と大きさ、星空の美しさに感動する。 ・ スポーツはサッカー・ラグビーが盛ん。 ・ 主食はタロイモ。毎日イモばかりを食べているが、体力はある。 ・ ソロモンのルールがある。❖女性の名前を聞いてはいけない。❖争いごとがあった場合豚を差し出せば、全部ゆるされる。❖隣の豚が自分の畑に入って来たら、半分を隣にあげて食べても良い。 ・ マラリアの発病率が高いことで有名。なので観光客は来ない。ソロモンは急な発展はない。 文明はひとつの恵みであるが、文明が入るためには準備が必要である。 〈Fr.ラップ、ソロモンで食生活・衛生面のお手伝い〉 ・ トイレを作る。→使ってくれない。→水を流さない。→詰まったまま。(ソロモンではトイレの紙はなく葉っぱを使う。同じ場所でしない。) ・ 飲み水の他、皮膚病が多く、きれいな水で洗濯できるように井戸を掘る。→ポンプが壊れる。→そのまま直さない。つるべ式の井戸→欲しがるようになった。→自分たちで掘ることをしない。道具もない。 ・ 教会がモデルとして作る。→手伝ってください。(押し付けない。) ・ 訓練センターを6年前に始めた。30haの土地に畑を作り、牛・豚・鶏を飼う。子どもたちに家畜の育て方、野菜、果物の作り方を教える。→収穫の日、町に売りに行く前になくなる。(自分の物は人の物⇔人の物は自分の物、なので、貧しい家族の為に持ち帰る。) お米作りを始めた。→収穫まで持ち帰れないので成功。 ・ センターの定員は100名で全寮制。ソロモンの人達は、時間の感覚があまり無いので大変。服装もあまり身に付けない。(裸に近い。)物がなくなる。などの問題や、小さい頃からお酒・タバコ・マリファナに手を出す環境がある。(学校は禁止しているのでやめて行く。) 100名入寮しても、一年過ぎると、40名となる。 15歳~25歳までの子どもたちにとっては、男女の出会いの場でもある。3~5組は結婚してやめて行く。(村の結婚をする。) 〈Fr.ラップのソロモンでの宣教活動〉 ・ Fr.飯田がお年を召され、その後を受けてテテラ教会の主任司祭となる。洗礼の届けは約6,000人。内2,000人は聖公会。 ・ キリスト教の前に特定の宗教はなかった。95%の人はキリスト教で、内19%がカトリックである。 ・ ソロモンの人達は、①洗礼 ②御聖体 ③病者の塗油 を大事にしている。 ・ 死んだ時は。埋めたら終わり。結婚は終身制の感覚はない。 ・ 告解は、言葉が5つあるので、何を言っているか解からない。ミサの前の長時間の許しの秘跡は大変。ミサの開始時間も大幅にずれる。 ・ 青年会・ヨセフ会・マリア会などがあり、カテキスタを村へ派遣する。 ・ シンプルな生活をし、村の中に入って行くようにしようと思った。言葉の問題はあるが、独身で自分の生涯を全て賭ける生き方を通して証し人となりたい。 ・ 古い宣教師は、物を持ってくることによって、文化を壊してしまう事もあった。 〈ソロモンから見た日本〉 ・ 日本は官僚的発想。決まったことだけをやればよいという意識。宣教には熱心さがいる。 ・ コンクリートや人の多さに息苦しさを感じる。 ・ 文明に染まっていないソロモンの子ども達を日本に連れてくることはしたくない。 〈ドンボスコ海外青年ボランティアグループの訪問について〉通称DBVGサレジオ会を母体としたNGO ・ DVBGからの訪問に労働力は期待していない。電気がない、水がない、トイレがない、 食べたい物が食べれない。などの状況で、体調を崩して寝てばかりになる人もいる。 ・ 出会いが喜びになる。ソロモンの子ども達と友達になり、その中に新しい意味を見出す。 ・ 出会いを通して、自分を確立することに意味がある。 ・ ソロモン島訪問だけでなく、ソロモンのためにバザーを開き、学校に寄付をするなどの活動も行われている。 〈お話を聞いて→振り返りのまとめ〉 ・ アダムとエバの楽園のような島のお話を聞いて、一度行ってみたいと大変興味を持った。 ・ 人と人、人と自然、人と神様との壁がない島の人達の生活に、人間本来の幸せのあり方を教えられる。 ・ 青年達が〈息子が〉ぜひDBVGの活動に参加して島を訪問する事によって、気づきを得ることで大事なものを見つけてくれたらうれしい。 ・ 1週間だけの体験ならできるかもしれないが、〈行ってみたいと思うが〉島でずっと生活するのは、本当に大変だと思う。文化の違いを超えてのFr.ラップの宣教に頭が下がる。 ・ 日本人が行かず、ベトナム出身の神父様が行ってくださっていることに感謝の思いと痛みも感じる。 |
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サレジオ会司祭:Fr.ラップ春山 |
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